ビジネスパーソンにおすすめの洋書5選|仕事の進め方から人生の優先順位まで

筆者は洋書を定期的に読んでいます。
いちばんの理由は、ビジネストピックのインプットと英語学習が一石二鳥になるからです。
本を読む習慣があり、洋書を読んでいれば忙しい時期でも英語から完全に離れずに済みます。
また、アメリカをはじめとする各国のリーダーたちが、いま何を考えていて、どんなコンセプトが流行しているのかを知れることも大きいです。
リーダーたちが何を考えていて、例えば社内の最近の組織変更などがどんな背景から来ているのかを考えられることは、英語力とはまた別の問題です。
洋書は、その理解を補うのにとても良い手段だと思っています。
なので最近は選ぶ本も実務スキルそのものより、概念や考え方に効くものが多くなっています。
今回は、筆者が2026年に読んだ中から、ビジネスパーソンにおすすめしたい5冊を紹介します。
それではまいります!
- 日本生まれ日本育ち、海外在住経験ほぼゼロ。
- 国内学習で英語力をアップ。
- 現在の英語力は外資系企業でネイティブとガンガン議論できるレベル。
- これまで長期に渡り様々な手法で英語力アップにコミットし、ときには挫折し、ときにはうまくいった経験から、読者に有益で再現性のある情報を届けたい。
- BizSprinto開発チームの一員。
Working Backwards|顧客の本当の課題から逆算する
Amazonの元幹部2人が書いた、社内の仕事のやり方を解説した本です。著者のColin BryarとBill Carrは合わせてAmazon歴27年で、Bryarは2年間ジェフ・ベゾスのChief of Staffを務めていました。
筆者がこの本を手に取ったのには、はっきりした動機がありました。
いまの職務では、顧客の視点で考えること、そして顧客が本当に困っているのは何なのかを突き止めることが、何より大事になります。
ところがこれが、意識しているつもりでも社内の都合に引っ張られていきます。だからこそ、そのマインドセットを鍛え直すために読みました。
タイトルのWorking Backwardsは、顧客が受け取る体験から逆算して製品を設計するという考え方を指しています。
そして具体的な仕掛けとして紹介されているのが、PR/FAQと呼ばれる進め方です。
製品を設計する前に、まだ存在しないその製品のプレスリリースとFAQを書き切ってしまう。これは目から鱗でした。
プレスリリースが書けないということは、顧客に届く価値を言語化できていないということです。設計に入る前にそれが分かるのは、順番として理にかなっています。筆者の会社でも取り入れるべきだと本気で思いました。
そしてもうひとつ、この本で有名なのが6ページの文章 (Narrativeと言われています) です。
会議でパワーポイントを使わず、6ページの文章を書いて、冒頭で全員が黙って読む。
実は筆者の会社でも、最近このAmazonの6ページスタイルを取り入れ始めました。
やってみると、良さが2つありました。
ひとつは、伝わり方が正確になること。箇条書きのスライドは、同じ資料を見ていても受け手によって解釈が変わってしまいます。文章にすると、そのぶれがかなり減ります。
もうひとつは、資料の見た目にかける時間が消えることです。
フォントを揃えたり、図の位置を微調整したり。あの作業に費やしていた時間がまるごと不要になりました。中身を考える時間に回せるようになったのは、想像以上に大きかったです。
この本が良いのは、理念で終わらずに具体的な運用まで落ちていることです。採用、指標の置き方、組織の切り方まで、そのまま真似できる粒度で書かれています。
英語は標準的なビジネス文書の文体で、専門用語もそれほど多くありません。仕事で英文レポートを読んでいる人なら問題なく読めると思います。
The Culture Map|多国籍チームを率いる前に読み直した
INSEADのErin Meyerが書いた、異文化コミュニケーションの本です。外資系で働く人には、5冊の中でいちばん実務に直結するかもしれません。
筆者はこの本を、最近もう一度読み直しました。
きっかけは、社内で有志を募っていたプロジェクトに参加したことです。
集まったのは、イギリス、アメリカ、ドイツ、中国のメンバー。事前に共有された経歴を見ていて、これは自分がリードを務めることになりそうだ、と感じました。
それで、始まる前に読み直しておこうと思ったわけです。
この本は、文化の違いを8つの軸で整理しています。
- コミュニケーションが文脈依存か明示的か
- ネガティブな評価を直接伝えるか、遠回しにするか
- 説得のときに原理から入るか、事例から入るか
- リーダーとの距離が平等か階層的か
- 意思決定が合意型かトップダウンか
- 信頼が仕事の成果から生まれるか、関係性から生まれるか
- 反対意見をぶつけ合うか、避けるか
- 時間の捉え方が直線的か柔軟か
面白いのは、日本が階層的でありながら意思決定は合意型という、珍しい組み合わせに位置づけられている点です。
上下関係には厳しいのに、決めるときは根回しをして全員の合意を取りにいく。言われてみればその通りなのですが、地図の上で他国と並べられると納得感が違います。
ただ、読み直して得られたのは知識よりもマインドセットのほうでした。
国ごとの傾向は、あくまで傾向です。そこに当てはめて相手を決めつけてしまったら、この本を読んだ意味がありません。
傾向として頭に入れたうえで、目の前のメンバー一人ひとりを尊重して向き合う。
この構えができたことが、いちばんの収穫だったと思います。相手の反応が自分の想定と違ったときに、失礼だとか非協力的だとか受け取らずに、座標が違うだけかもしれないと一度立ち止まれるようになりました。
多国籍のチームで動く予定がある方は、始まる前に読んでおくと構えが変わると思います。
英語は事例が中心で読みやすく、各章に具体的な失敗談が入ります。洋書としては入りやすい部類です。
The 7 Habits of Highly Effective People|自分の内側に軸を作る
Stephen R. Coveyが1989年に出した、説明のいらない古典ですね。
正直に言うと、筆者は長いあいだ読まずにいました。有名すぎて、要約でだいたい知った気になっていたからです。
実際に通しで読んでみると、要約で流通している部分は本当に表面だったと分かりました。
この本の構成は、まず自分を律する3つの習慣があり、そのうえで他者と協働する3つの習慣が乗り、最後に自分を磨き続ける習慣で締める、という積み上げになっています。
順番に意味があるわけです。自分の内側が定まっていない状態でWin-Winを目指しても、ただの妥協になってしまう。
筆者がいちばん効いたのは、まず理解に徹し、そして理解されるという習慣でした。
英語の会議では、自分の主張を組み立てることに意識が向きがちです。でも実際に信頼を得ている人は、まず相手の話を正確に受け取っている。当たり前のようでいて、英語だと余裕がなくなって飛ばしてしまうところです。
英語としては、1989年の本なので少し古風で、抽象的な言い回しも多めです。文章そのものは難しくありませんが、量があるので腰を据えて読む必要があります。
Bullshit Jobs|その仕事に意味はあるのかと問われる
この本はまずタイトルに注意を惹きつけられました。そして読んでみると筆者のわだかまりを見事に文章化してくれた本でした。
人類学者のDavid Graeberが2018年に出した本で、世の中には本人すら無意味だと思っている仕事が大量に存在する、という主張から始まります。
Graeberはロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの教授で、2020年に亡くなりました。この本はFinancial TimesのBusiness Book of the Yearにも選ばれています。
本書では、無意味な仕事が5つの類型に整理されています。
- 誰かを偉く見せるためだけに存在する取り巻き
- 他社と張り合うためだけに必要な攻撃要員
- 壊れた仕組みを応急処置で繕い続ける人
- やっている感を出すための書類仕事
- 他人に無意味な仕事を割り振る管理職
読んでいると、心当たりが出てきてなんとも言えない居心地の悪さを感じます。
グローバル企業は特に、本社向けの報告資料が積み上がりがちです。誰も読まないかもしれない英語のプレゼン資料を深夜に作りながら、これは何のための時間なんだろうと思ったことが、筆者にも何度もあります。
この本は解決策を提示してくれるタイプではありません。
ただ、自分の時間が何に使われているかを一度立ち止まって見る機会にはなります。前の3冊が仕事をうまくやる方法だったのに対して、この本はそもそもその仕事をやる必要があるのかと聞いてきます。
英語は5冊の中でいちばん手強いです。人類学者の文章なので、一文が長く、皮肉や言い回しも効いています。
少し英語難易度が高いのですが、面白いです。
The Top Five Regrets of the Dying|最期に何を後悔するのか
著者のBronnie Wareはオーストラリアで緩和ケアに携わっていた人で、看取った患者たちが繰り返し口にした後悔を5つにまとめています。2011年の本で、27の言語に翻訳されています。
その5つがこちらです。
- 他人の期待ではなく、自分に正直な人生を生きる勇気がほしかった
- あんなに働かなければよかった
- 自分の気持ちを表に出す勇気がほしかった
- 友人との関係を保っておけばよかった
- もっと自分を幸せにしてあげればよかった
2つ目が特にこたえます。
これを口にしたのは男性の患者が多かったと書かれていて、仕事に時間を注いできた人ほど、最後にそこを悔やんでいたということです。
誤解のないように書いておくと、働くなという本ではありません。
ただ、働く時間の使い方を自分で選んでいるかどうかを問われます。Bullshit Jobsを読んだあとにこれを読み、色々と考えさせられました。
英語は5冊でいちばんやさしいと思います。回顧録の文体で、難しい単語はあまり出てきません。洋書の1冊目として選んでも読み切れると思います。
キャリアの方向を考えている時期に読むと、しばらく頭から離れなくなる本です。
洋書を読み切るために、英語面で用意しておきたいこと
洋書で挫折する原因は、内容が難しいからではなく、読むのが遅くて終わりが見えないからだと感じています。
1ページに5分かかると、300ページの本は25時間コースです。これだと先に気力が尽きます。
だから洋書に挑む前に、速読のテクニック、例えば返り読みをせず前から処理する力をつけられると完走率がかなり変わります。
もうひとつは単語の扱い方です。
知らない単語を全部引いていると読書のリズムが壊れるので、何度も出てくる単語と、そこが分からないと話が読めない単語だけを拾う。それ以外は飛ばして良いと思います。
拾った単語は、あとで復習できる形で残しておくと次の本に効いてきます。
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洋書を読むうえで直接効くのは、速読と英単語マイリストの2つです。
速読のモジュールは、チャンク読みから始まって、一文読み、スクロール読み、シャドーイング、WPM計測、スキャニング、スキミングまでの7ステップで構成されています。返り読みの癖を断つところから順番に練習できるので、洋書に入る前の助走になります。
英単語マイリストは、20,000語の辞書と連動していて、読書中に出会った単語を検索して登録できます。意味を手打ちする必要がないので、読書のリズムを壊さずに済みます。
復習のテストでは類義語や対義語も一緒に出るので、単体で丸暗記するより定着します。
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まとめ
5冊を並べ直すと、こうなります。
- Working Backwards|仕事をどう進めるか
- The Culture Map|誰と働くか
- The 7 Habits of Highly Effective People|どんな自分で働くか
- Bullshit Jobs|その仕事をやる意味はあるか
- The Top Five Regrets of the Dying|そもそも何のために働くか
手元の実務から始まって、最後は人生の話まで引いていきます。
全部を順番に読む必要はありません。今いちばん気になったところから1冊選べば十分だと思います。
英語に不安があるなら、いちばんやさしいThe Top Five Regrets of the Dyingから入るのがおすすめです。逆に読み慣れている方は、Bullshit Jobsで歯応えを味わってみてください。
翻訳が出るのを待たずに読めると、選べる本がまるで違ってきます。その入り口として、この5冊が役に立てば嬉しいです。
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